「これはわたしの愛する子」
                          マルコによる福音書9章2-8節
 イエスさまの「山上の変貌」の記事を読みます。イエスさまが高い山に赴かれ、栄
光に輝くお姿になって大昔の預言者モーセとエリヤ、旧約最大の預言者たちと会談さ
れる場面です。時空を越えた首脳会議?? しかし会談の目的は「話し合い」ではなかっ
たようです。この会談は、ペトロとヤコブとヨハネ、この三人のお弟子たちにイエス
さまの変貌のお姿を「見せること」にありました。弟子たちの中で彼らはイエスさま
さまのいわゆるスポークスマンとしての役割が与えられていたようです。特記すべき
はゲッセマネの祈りの折、三人は特別イエスさまに近い位置に居て祈るよう命じられ
ていたにも拘わらず眠ってしまったことでした。見守りと共に師匠の最も苦しい祈り
の時を自分たちの祈りによって支えるためであったと思われるのに、残念…。
高い山は天に近いと言われていました。そこにおいてイエスさまは白く輝くお姿に変
貌なさいました。それは栄光に満ちあふれた主、ご復活の主のお姿だったのです。十
字架の上に死なれ3日目に神さまによって甦らされさらに40日後に天に昇り神さま
の定められた時に従って再臨される際のお姿だったのです。再臨はまだ起っていない
ので誰も見たことのないお姿です。つまり三人のお弟子たちは、終末の情景を先取り
りして目撃したのでした。ペトロは余りの衝撃に訳の分からないことを口走ります。
その気持ちがよく分かります。ほんの僅かな出来事であったでしょう。でもおそらく
ペトロは変えられた。今まで色々なイエスさまの奇跡や徴や癒やしの場面に遭遇しな
がらも、「あなたはメシアです」と口で告白しながらも、イエスさまが誰なのか、理
解できなかった彼が遂に、イエスさまのご本質、神性に、より迫った瞬間でした。