ヘブライ書は、紀元80年から90年ごろに書かれたと言われます。新約時代に生きたヘブライの筆者は一体どこからメルキゼデクの情報を得たのでしょうか。

 ヘブライ書7章1節。メルキゼデクはサレムの王であり。サレムとはエルサレムのことであろうと言われます。加えて2節にはメルキゼデクという名の意味は、まず「義の王」次に「サレムの王」、つまり「平和の王」です。とあります。「王の中の王♪」と詠うヘンデルのメサイアが聞こえてくるようです。そしてもう一度1節に戻って後半、いと高き神の祭司でした。と彼を紹介しています。

 祭司とは神に向かって罪の贖いと執り成しを祈る神に仕える人々のことです。その昔レビ族が専門に担った聖職でした。3節にはこのように書かれてます。彼には父もなく、母もなく、系図もなく、また、生涯の初めもなく、命の終わりもなく、神の子に似た者であって、永遠に祭司です。

 今朝のテキストの創世記14章ではこのメルキゼデクが、パンとぶどう酒を持って来た。彼はアブラムを祝福して言った。とあり、祝祷の言葉がこれに続きます。王メルキゼデクが祭司としてアブラムを祝福したのです。

 ヘブライの記者も、アブラムはメルキゼデクにすべてのものの十分の一を分け与えました、と記しました。同記者は、メルキゼデクがアブラムよりも上に立っていることを強調し、メルキゼデク自らがイエス・キリストを指し示している、というのです。私たちはヘブライ書4章から8章を読むことでこのことを知ることが出来ます。