「教会を力づけるパウロたち」
                       使徒言行録15章35~41節
 エルサレムの使徒会議の決定を携えて、バルサバと呼ばれるユダとシラスが、パウ
ロとバルナバに同行してアンティオキア教会へと下ってきました。深く傷ついていた
アンティオキアの異邦人キリスト者たちは、エルサレムの兄弟たちからの真心を尽く
した手紙を読み、会議が自分たちのために励ましに満ちた決定をしてくれたことを知
って、おおいに喜んだのでした。
 数日ののち、パウロはバルナバを次の伝道旅行へと誘います。今までに伝道して来
た地域へ行き、教会(当時は家の教会)を訪ねて兄弟たち(キリスト者たち)の様子
を見て来ようとの提案はバルナバの同意するところとなりました。が、同道者をマル
コにするか否かで両者は対立し遂に決別してしまいます。前回の旅の途上パンフィリ
ア州での失敗(マルコが伝道の使命を放棄してエルサレムに帰ってしまった)をパウ
ロは、非難し軟弱な者は旅の足手まといになると、同行を拒否します。一方バルナバ
は、若気の至りとそれを軽く受け止め一度や二度の失敗よりもマルコの将来の可能性
に賭けて連れて行くべきだ、育てるべきだと主張したのです。聖霊の導きによって、
ユダヤ人と異邦人がイエス・キリストを信じる信仰においてひとつの合意に至るとい
う奇跡が起こり、それによって異邦人世界への福音伝道の扉が今こそ大きく開かれた
というのにここへ来て肝心のリーダー二人が決裂してしまうとは…。しかもそんなこ
とで…。しかし神さまは人間のどんな危機的状況をもご自身の御旨の完遂のためにお
用いになるお方。御業は押し進められ、私たち異邦人がこうして福音に与るに至るの
です。