王バラクは占い師が指示した通りに7つの祭壇を築き、7頭の雄牛と雄羊を献げました。これらの犠牲は、バラクが望むイスラエルに対する呪い、これを神がきっと叶えてくれるとの思いで贈る、いわばバラクの神への賄賂であったのです。王は占い師を思い通りに用いようとしたのと同様、神をも用いようとするのです。占い師バラムは、自分が神に会うために別の所に行く間ここで待っているようにと王バラクに告げます。そして丘の頂に着いたバラムに神さまは出会われ、その口に言葉を授けられたのでした。

 託宣を受けたバラムは祭壇の所へ戻り、王バラクとモアブの長たちに向かって宣べ始めました。まるで詩文のような託宣です。神さまから預かった言葉というより、彼自身の心から出ているようにも思えます。バラムは、霊の取り扱によって神の言葉を自ら具現する預言者として立ち始めるのです。もはや彼は自動的に託宣を宣べるロボットではないのです。

 これに対して王バラクは当然ながら否定的な反応を示しました。あなたは、何ということをしたのですか。わたしは敵に呪いをかけるために、あなたを連れて来たのに、あなたは彼らを祝福してしまった。悲壮感さえ漂っています。遂には怒りは爆発し、契約不履行に対する非難と報酬なしでの占い師への回顧宣言に至るのです。24章10節11節を読みます。

バラクはバラムに対して激しく怒り手を打ち鳴らしながら、バラムに言った。『敵に呪いをかけるために招いたのに、見よ、お前は三度も祝福した。自分の所に逃げ帰るがよい。お前を大いに優遇するつもりでいたが、主がそれを差し止められたのだ。

 どんなに非難されても罵倒されても、バラムの応答は同じでした。主がわたしの口に授けること、わたしはそれだけを忠実に告げるのです。