【新芽の候】
「新芽」の季節を迎えました。新緑の直前のわずかな時期、街路樹も丘も山も一瞬「秋色」に見えるのにお気づきでしょうか。創造の御手は実に濃やか。芽生えの色は「緑」とは限らないのです。
よく生垣などに用いられるアカメガシ(レッドロビン)。年中緑の生垣がきれいですが新芽は正に「赤」、今がちょうどその時です。ついでに蘊蓄を披露するなら常緑樹のアカメガシが古い葉を落とすのがこの時期で、散り敷く落ち葉を「替え落ち葉」と言います。…ってご近所さんから教わりましたが素敵な言葉ですよね。
桜の新芽は薄い茶色、ハナミズキは紅葉の時と同じ深紅。このように新芽の色が木によって違うので全体で眺めると秋の紅葉の風景さながら。しかも「錦秋」に微妙に柔らかさが加わっていてそれが春らしさを醸し出しています。こうしてしばらくすると世界が新緑に包まれるのです。