クリスマス物語に聞く福音「クリスマス・キャロル」
ルカ19:1-10
「クリスマス・キャロル」は怖いお話。中学生ごろまで私は本気でそう思っていまし
た。小学生の低学年の時に見た絵本があまりにリアルで、内容より先に「絵」に圧倒
されてしまったのです。冷酷で無慈悲な老人スクルージが、かつての同僚の忠告や、
3人の精霊によって連れ回され見させられた彼自身の過去、現在、未来の情景によっ
て、自分の中にも人間らしい愛や優しさがあることや、人に同情したり人のために熱
心になれる自分を知っていきます。3人目の精霊が彼の悲惨な死と朽ち果てた墓を見
せた時、スクルージは本気で未来を変えたいと願います。クリスマスの朝、生まれ変
わったスクルージは人の助けになることを何より喜ぶ人になっていったのでした。
この物語がザアカイの物語と重なります。ザアカイはイエスさまとの関わりの中で変
わっていきました。「クリスマス・キャロル」にはイエスさまや聖書の言葉は出てき
ませんが、スクルージを取り巻く人々が上から受けた愛をスクルージに惜しみなく差
し出したことがスクルージの頑なな心を溶かし本当の姿へと帰らせたのだと思います。
「神はご自分にかたどって人を創造された。神にかたどって創造された。」と創世記
1章27節に書かれています。私たちは誰でも元々は神のかたちをしていたのですね。
それがこの世で生きているうちにあちこちが欠け破れ、とうとう元のかたちが分から
ないほどに変形してしまった。そしていつの間にかそれが本当の自分だと思ってしま
っているのかも知れません。でもそのかたちでは多分生きにくいのでしょう。だから
「変わりたい」と思う。変わるのは簡単!神のかたちに戻ればよいのです。聖書のみ
言葉に生きればよいのです。