ヨナは再びスタート地点に立ちました。そこは神さまが彼に「ニネベの町で宣教しなさい」と仰った地点です。まるで1章と2章がなかったかような再出発の場面ですが、当然ながらそれがなければ今のヨナはありません。人生の遠回りには神さまの意味づけがあるのです。それを見つけられるかが人間の側の課題なのでしょう。ヨナは、今度は逃げ出したりせずニネベの町へとやって来ました。彼にとっては大きすぎる町だったかと思います。巡り歩けば3日かかるらしい。最初の一日彼は「あと40日すればこの町は滅びる」と呼ばわりました。何という乱暴な言葉でしょうか。しかし神さまが、「わたしが語る言葉を告げよ」と言われた以上、従うよりありません。ヨナはこの宣教にかなりのエネルギーを費やしたことでしょう。まず彼はこの町が嫌いでした。滅びてしまえばいいとさえ思っていた。何しろニネベの人々はヨナの国を脅かすアッシリアの国の民であり、異邦人であり、しかも異教の神を拝む人たちなのです。でもこの人たちに宣教しなければ…。彼の脳裏に海底で水草に絡みつかれた時のことが甦ったかも知れません。あの苦しみから救い出してくださった神さまの慈しみに対してきちんと応答しなければ…。
今のヨナにとってはただ重いだけの召し。しかし神さまのヨナに対するご計画は祝福と平和を与えるもの、ヨナが自分らしく生きるための育みの時であるに違いないのです。人の考えと神さまの御心がおかしいほど不一致な場面です。