形あるものは…
先週の水曜日から、我が家の近所で家屋の解体が始まりました。この周辺は元は山で、街を南北に分けるように流れて瀬戸内海に注ぐ福田川を「底」に、両斜面それぞれに向かって緩やかに上っていく坂は建物でぎっしり埋めつくされています。西側の斜面に立つ我が家の更に上、小高い山の頂上付近にも家々がありそこからは海が一望のはず。窓を開ければオーシャンビューなんて素敵!と憧れをもって見上げていましたが、その1軒に住まう女性は斜面が急で財布1個持って帰るのも面倒な日があるとボヤいておられました。そこが空き家になったかなと思っていたら解体が始まったのでした。
役目を終えた家屋はとても静かに丁寧に、折り畳まれるようにして姿を変えていき遂に土台だけが残りました。今日もクレーン車による残材処理が行われています。お疲れさまーと心の中で声をかけました。
形あるものはいつかは消えていきます。日々見ていたはずの家の形を何と!今思い起すことさえ難しい…。空地を見てそこに在った建物を思い出すのって、意外と難しいですよね。目に見えることの意味を改めて問われる気がします。見えない神を信じる私、でした。