聖書箇所:サムエル下11:1-12:25
     列王記上1:1-2:25
朗読箇所:列王記上2:12-25

 マタイの系図に登場する今朝の女性はバト・シェバです。聖書に出てくる女性の中でイエスさまの母マリアの次くらいに有名なのがこの人ではないでしょうか。ダビデ王家のスキャンダルの中心人物というあまり嬉しくない肩書きがついて回るので気の毒な気もしますが。

 マタイは「ダビデはバト・シェバによって」ではなく「ダビデはウリヤの妻によって」と、彼女を系図に書き込みました。後の世まで誰が読んでもダビデ王が他人妻に跡継ぎを生ませたことが明白であるように、との意図をもってのことだったのでしょうか。それともバト・シェバが二次被害を受けないための配慮だったのかも知れません。バト・シェバもユダヤ人に対する異邦人でした。当時のユダヤ人がこだわった「血統神話」「純血主義」が早い段階で崩れ去ってしまっていたことが彼女の存在からも分かります。

 この系図を通して筆者マタイが最も言いたかったことは血統に拘ることへの無意味さで、あったのかも知れません。しかしこの系図はそれ以上のメッセージを現代の私たちキリスト者にも語ってくれているように思います。究極的には神さまとは如何なる方であるかを語っている…。イエスさまは本当に人となってこの世界に降って来て下さった!その事実を知らせようとしている…。系図というと家柄とか血統とかで他者を差別し自分を誇るための根拠、というイメージですがマタイはその既成概念を粉砕してくれました。私もこの命の系図に連なる者であることを心から喜びたいと思います。