「ゲッセマネで祈る」
                   マルコによる福音書14章32~42節
 いよいよマルコの福音書はイエスさまの受難物語へと進んでいきます。
 今年度のマルコによる福音書は本日が最終です。
 主の晩餐を終えて、イエスさまとお弟子たちはゲッセマネの園に向かいました。
そこはいわば別荘地の庭のような場所でイエスさまは親しい人からその庭を自由に使
う承諾を得ておられたようです。折々、お一人で赴いて祈っておられたのでしょう。
 ここでイエスさまは最後の祈りをされるのですが、そのお姿は今までのイエスさま
からは想像できないようなご様子でした。「ひどく恐れもだえ」始め「死ぬばかりに
悲しい」と嘆かれ「できることなら、この苦しみの時が自分から過ぎ去るように」、
そして「わたしが願うことではなく、御心に適うことが行われるように」と、壮絶な
祈りをなさったのでした。ルカが「汗が血の滴るように地面に落ちた」と記している
ほどです。イエスさまは何故、何を恐れられたのか。どうしてそんなに悲しまれたの
か。ご自身の地上での使命やその身に起ることは知っておられただろうに、ここへ来
て何故それを回避したいという思いを持たれたのだろうか。そもそも本当に回避した
いと思っておられたのだろうか…。この箇所には謎が一杯です。また、イエスさまは
いつものように12弟子の中のペトロとヤコブ、ヨハネを選んでお傍で祈るようにと
命じられました。山上の変貌の時のように、彼らを「目撃者」とするためだったと考
えられます。ところが、そんな大事なお役を与えられながら3人はイエスさまのお姿
が見える場所で眠ってしまいました。ついに「もうこれでいい」と師匠に呆れられる
ほど何度起こされても眠りこけたのです。考えてみればこれも腑に落ちません…。