使徒言行録 15章22~33節
  聖霊によって導かれたエルサレム会議は、全員一致によってひとつの結論に至り
ました。それは「神に立ち帰る異邦人を、断じて悩ませてはならない」というもの
でした。キリスト者となった以上、ユダヤ人のように律法を遵守し、割礼を受けな
ければならないのだろうかと、アンティオキアの異邦人キリスト者たちは、思い悩
んでいたのです。エルサレム教会の使徒たちや長老たちは、彼らにとっての朗報を
少しでも早く、正確に届けようと、パウロとバルナバに同行させる者として、バル
サバと呼ばれていたユダとシラスを立てます。そして彼らに手紙を託したのです。
その手紙は、アンティオキア教会の異邦人キリスト者のみならず、シリア州、キリ
キア州に住む信徒たちにも読まれることとなりました。
「彼らはそれを読み、励ましに満ちた決定を知って喜んだ。」ルカはこう記してい
ます。会議でのこの決定は、異邦人キリスト者にとってまさに安堵と喜びでした。
 このよき知らせを伝えるために、エルサレム教会は濃やかな配慮を忘れませんで
した。遣わされたユダとシラスは初代教会の主だった指導者で、預言の賜物をも持
っており、「いろいろと話をして兄弟たちを励まし力づけた」のでした。ここから
顔と顔を合わせることの大切さを教えられます。SNSによるコミュニケーション
が普通になった今、便利さを手に入れたかわりに私たちは大切なものを失いかけて
いるのではないでしょうか…。
 エルサレム会議のこの決定を基に、キリスト教は世界宗教へと発展していきます。