3年間に亘るエフェソでの伝道は神さまの導きによって祝され、大きな果実を得るに至りました。パウロはエフェソの教会の信徒たちを励まし、別れを告げてマケドニアへと向かいます。ここからルカの筆致が少し変わります。今まで伝道旅行途上での出来事を述べてきたのですが、20章以降はパウロの旅の計画がどのように実行されていくのかに重点が置かれていきます。またパウロの中でローマを意識することが多くなり、方や私たち読者はパウロのこの世での終りを意識するようになっていきます。

 今朝のテキストにはパウロが、エフェソ教会に残していく「弟子たちを励まし」また行く先々で「人々を励ましながら」旅を続けたことが記されています。パウロは今までアジア州や東ヨーロッパに次々に教会を建ててきました。エフェソ伝道をもってパウロは働きの軸足を教会設立から信徒の牧会へと移行させていこうとします。信徒に任せてきた教会運営のフォローアップの必要を感じたからでしょう。彼は「語り」をもって、すなわち説教によって信徒たちを励ましました。現代の私たちキリスト者が力と勇気と希望を受けるのもみ言葉からです。心を空っぽにしてみ言葉を読み(聞き)祈り求めと感性によって「わたし」へのメッセージとして受け取っていくのです。

 パウロには西側世界への大きな幻がありました。でも彼は先ず神さまからのミッションを果たすために反対側のシリア州へと向かいました。何がみ心なのかを常に訊きつつ行動を起こすパウロに私たちも倣いたいと思うのです。