ヨハネの福音書では、イエスさまは弟子たちの足を洗い終え、それから「この
ように互いに愛し合いなさい」と教えられました。その後に「しかし『わたしの
パンを食べている者が、わたしに逆らった』という聖書の言葉は実現しなければ
ならない」と、先の詩篇を引用しておられるのです。これらは全て食事の前の出
来事でした。ヨハネは食卓に着く前のイエスさまの姿を記しています。イエスは
…心を騒がせ…「はっきり言っておく。あなた方のうちの一人がわたしを裏切ろうと
している」と…。イエスさまが苦難を受け十字架に命を落とされることは、神さま
の始めからのご計画であったと、ヨハネは共観福音書とは異なる出来事の並べ方
によってそのことを強調したかったのではなかったでしょうか。ユダの裏切りが
あったからイエスさまが十字架に架けられたのではないのです。神さまのご経綸
は人間の歴史を貫いており、ユダの自由意志はそこに人間の足跡を記した、とい
うことかと思います。イエスさまは、聖書の預言の通りに苦難へと、十字架の死
へと、歩みを進めて行かれます。