祈祷会/今日この頃
祈祷会は「サムエル記」に入りました。「神の民」がますます人間臭くなっていきます。
でも考えてみればイスラエルは最初からモーセやアロンという仲保者を通して神さまに散々不平を言い反抗して来ました。それでも荒れ野では神さまに頼る以外生きていけなかったし、比較すべき対象もなかったので悔い改めも立ち返りも比較的素直で速かったように思うのです。
しかしカナンの地への侵略行為によってゆっくりとパレルチナに溶け込んでいくに連れ、イスラエルは異民族国家の王制に憧れるようになっていきました。そして遂に「自分たちも人間の王が欲しい」と言い出したのです。周囲の民族が強いのは「人の目に見える」人間の王を冠しているからだと。偉大な預言者サムエルは、そのような考えに頭から反対しましたが、神さまは「民の言う通りに王を立てよ」と彼に命じられるのです。
サムエル記はこの時代から始まる主に王家の物語です。初代王サウルが神さまから退けられた物語、代わって神さまからこよなく愛された第2代目の王ダビデの物語が長々と続き、第3代のソロモン王の治世を頂点にイスラエルは凋落し始める…。サムエル記はここで終わります。現代からは想像も出来ない部分も多々あるものの、人間って「基本的には変わらない」としみじみ納得する場面も結構あるのです。聖書の物語は決して古の他所の話ではなく隣に住む私たちと同じ人々の物語なのです。