5月と6月を通して7回に亘りヨハネの福音書から聞いて参ります。イエスさまと出会いイエスさまの周辺で生き直しを始めた人々、イエスさまによって行く道を変更し与えられた命を嬉々として生き貫いた人々…、その姿をヨハネの記述を通して学びたいと思います。
1回目の今朝は「バプテスマのヨハネ」です。イエスさまの母マリアは幼い頃に両親を亡くし、遠縁にあたる祭司のザカリア夫婦に育てられたと言われます。マリアが母とも慕うエリサべトがバプテスマのヨハネの母であることは神さまのご配慮でしょう。イエスさまよりも半年早く、主の先駆者としての使命を帯びてこの世に生まれたヨハネは実にその働きに生涯を献げ尽くしました。「主の道をまっすぐにせよ」と呼ばわる『声』に徹することは主役を引き立てる脇役として自分を捨てることなしには出来ません。花嫁を迎えるのは花婿だ。花婿の介添え人はそばに立って耳を傾け、花婿の声が聞こえると大いに喜ぶ。だからわたしは喜びで満たされている。あの方は栄え、わたしは衰えねばならない。3:29-30
だからと言って彼は人の目につかないよう陰に回り続けたわけではありませんでした。命を賭けてイエス・キリストを指し示し、多くの人々に真のメシア(救い主)を証しし、ユダヤ人たちの間違った理解や行動を糾弾し、領主ヘロデの不倫を指摘しました。この世では邪悪な権力に命を奪われましたが、本当の価値は天上にて見いだされる、地上の苦しみは天上で報われる。彼はそこに目を注いでいたのでしょう。