「わたしだ、恐れることはない」
                   マルコによる福音書6章45-52節
 福音書には、イエスさまが水難からお弟子たちを救い出される奇跡物語がふたつ収
められています。どちらもガリラヤ湖が舞台。お弟子たちのうちペトロとアンデレの
兄弟、ヤコブとヨハネの兄弟、この4人はガリラヤ湖の漁師でした。湖を知り尽して
いるプロフェショナルでさえ水難に遭うのだというストーリーだけでも私たちの人生
の教訓になりそうですが…。一つ目の物語は先々週に学びました。二つ目の今朝の物
語には「湖の上を歩く」という小見出し(新共同訳聖書)が付いてる通り、逆風に煽
られて漕ぎ悩んでいるお弟子たちのところへイエスさまが歩いて近寄られ、彼らを助
られたというお話です。福音書の著者マルコはいつも「イエス・キリストとはあなた
にとって誰か」、どのような意味を持つお方であるかを読者に問います。イエスさま
と3年間も寝食を共にしながら伝道旅行を続け、教えを受け続けたお弟子たちでさえ
イエスさまが天にお帰りになり、替わって聖霊降臨が起ってやっと分かったくらい難
しい質問のようですが、イエスさまを愚直に信じる「その信仰」が実は答なのです。
ただ、何時どこでどんな状態にあってもイエスさまを心から愛し信じている、と答え
られるかというと…。お弟子たちのリーダーのペトロも、イエスさまから「あなたは
私を誰というか」と問われた時「あなたは神の子キリストです」と答えました。大正
解!です。でも湖の上を歩いて助けに来てくださったイエスさまを見て幽霊だぁ!と
叫んでしまったのです。事ほど左様に単純明快で揺るがない信仰を持ち続けることは
難しいのかも知れません。励ましの神に依り頼んで信仰を貫き通したいものです。