彼らは一つの民で、皆一つの言葉を話しているから、このようなことをし始めたのだ。これでは、彼らが何を企てても、妨げることはできない。我々は降って行って、直ちに彼らの言葉を混乱させ、互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。11:6-7
まるで神さまが人間と対等に勝負しようとされているかのように聞こえますがそうではありません。また人間が何かを企てることを妨げることがお出来にならないような神さまでもありません。神さまの人間に対する愛と慈しみと哀れみは永遠に変わることはないのです。
神さまは、傲慢の故に自滅の道を下り始めた人間を救うためにわざわざ天から降って来られたのでした。そして自分たちの過ちに自分たち自身で気づくようにと、彼らの言葉を乱されたのです。ヘブライ語の「バラール」は乱すという意味の動詞です。この言葉から「バベル」という町の名前が生まれたと言われます。
神さまは塔の建設を阻止する以前に人間の傲慢を砕かれたのでした。言葉を乱すという、人間の手には負えない手段をもって人間の昂ぶりを諫められたのでした。8節。
主は彼らをそこから全地に散らされたので彼らはこの町の建設をやめた。
散らされたくないために堅固な町を建てようとし、天に届く塔を建てて力を誇り、創造主に楯突こうとした人々の目論見は崩れ去りました。しかしそれは人々にとって幸いであったのです。命を危険に晒すことも身体に傷を負うこともなく、大きな敗北感を覚えることさえなかったでしょう。このようにして人々は神さまの哀れみの御手に包まれながら生きるべき土地へと持ち運ばれていったのでした。