マルコが記すイエスさまの奇跡物語、今朝は盲目の人の目を開かれたという伝承です。
ガリラヤから始まったイエスさま一行の旅は効率を無視したような道程で東はデカポリス、西はフェニキアといった異邦人の土地にまで至りました。私は若い頃家を出てから行き先を決める旅を幾度かしましたがイエスさまはそんな気まぐれな旅をされたのではありませんでした。人の目が届かない所で声なき声を上げている「ひとり」をめがけて行かれた、そんな感じのする旅を続けられたのです。
その日、イエスさまの一行はベトサイダに着きました。そこに一人の盲人が彼の目の癒しを願う友人たちによって連れて来られます。イエスさまはその人を人の居ない村の外へと手を引いて連れて行かれた。このスピード感からして、イエスさまはこの人の目を見えるようにするためにベトサイダに来られたに違いない、そう思ってしまうのです。
イエスさまはこの人と2人きりになってから、癒しの所作をなさいました。それは瞼に唾を塗るという不思議な行為で、施術者に対する信頼なしには施すことの出来ない治療方法でした。これはむしろ盲人の信仰を問う行為であったと思われます。この人の目を開いたのはイエスさまが両手をその人の上に置かれたから(23節)。イエスさまが天のお父さまに癒しを願って祈られたからだったと思われます。
癒やしの場面はとかく騒々しくなりがちです。人々が奇跡に驚いてイエスさまを褒めたたえ人々に噂を広めようと張り切るからです。でもこの場面はいつもと違いとても静かです…。