(イエスは)彼らに対して言った、「それならば、カエサルのものはカエサルに返せ、そして、神のものは神に(返せ)」。ルカ20章25節 岩波訳聖書
真ん中の接続詞は「そして」です。『皇帝のものは皇帝に返しなさい、そして、神のものは神に返しなさい。』この訳は、この世と神の国を必ずしも対立関係とは捉えない視点を示しているのではないかと思いました。
ルカは異邦人でした。異邦人として世の働きを果たしつつ、神に仕えることができるという希望の福音です。異邦人の世界に生きる私たちは、ユダヤ人の価値観と同じになることは難しい。けれども異邦人の私たちにも同じ救いを届けることがイエス様の福音であった。イエス様のまなざしの中で、人の世で与えられた役割を忠実に担い、教えを実践することは証となります。ルカ福音書20章20‐25節に対応する共観福音書すべてに共通する教えがあります。
【自分のものにしないで返しなさい。】です。与えられたものを世に返す、神に返すということをイエス様は勧められました。私たちは誰もが神の刻印を身に受けています。私たちひとりひとり、心も体も能力も財産も、すべて神様から与えられたもの、預けられたもの、託されたもの。ひとりひとりがかけがえのない尊い存在、タラントです。私たちそれぞれが恵みに感謝し、管理し、育て、世に返し神に返す。御心を尋ね求めつつ神に仕えるように世に生きることが、「神のものである私自身を神に返すこと」。御言に聞き、塩に味付けられた言葉を用いるよう舌を制御し、遣わされた持ち場でお互いを大切にし、この世に平和を作り出す私たちでありたいと願います。