イエスさまが十字架の上で死んでしまわれた時、12使徒や弟子たち女性たちは、悲嘆と絶望とユダヤ教徒に対する恐怖とで、進退窮まった状態にありました。ガリラヤに逃げ帰ることも考えたでしょう。そんな彼らをこの町に留まらせたのは、イエスさまの言葉、エルサレムから離れず、父の約束を待っていなさい、という言葉でした。

 使徒言行録には120人ほどの人たち、婦人たちやイエスの母マリア、イエスの兄弟たちがエルサレムのとある家に集まり、一つになり、心を合わせて熱心に祈っていた、と記されています。それから程なくして五旬祭の日が来ました。

 漢数字の五、時期を表す旬、これに祭をつけて五旬祭。これはユダヤ教の三大祭のひとつです。その昔エジプトを脱出したイスラエルの民が荒れ野をさ迷っていた時、神さまがモーセをシナイ山に招いて「十戒」を授与された。これを記念するのが五旬祭でした。このユダヤ教の祭日に、イエスさまを信じる人々に聖霊が降ったのです。あなたがたは間もなく聖霊によるバプテスマを授けられる、と仰ったイエスさまの言葉が正に成就したのでした。

 この出来事が主のご復活の日すなわちイースターから数えて50日目であったので、人々はこの日を「五十番目」を意味するペンテコステ、と名付けました。さらにその日には、12使徒を中心とする信仰者の群れが立ち上がりました。それが初代エルサレム教会です。ペンテコステを「キリスト教会の誕生日」と呼ぶ所以です。