神の子イエス・キリストの福音の始め。福音とは良い知らせ、Good news、私たちキリ
スト者はそう解釈しますが、この言葉は旧約聖書時代は軍事用語でした。味方の勝利と
いう良い知らせ、これを「福音」と言ったのです。マルコはこの特別な言葉を自らの生
涯を賭けて書き上げた渾身の一冊にタイトルとして掲げたのでした。「『福音』という
一言がこの書物の内容の一切を表している。書物全体を読者に把握させる最適な言葉で
ある。」その意味で後世の多くの聖書学者たちまでもマルコのこのネーミングを高く評
価しています。ではその「福音」の内容とは何なのでしょうか。イエスという歴史上の
偉人の伝記ではありません。ユダヤの歴史書でもありません。そうではなくこれは受け
取った人、読んだ人に応答が求められるマルコからの「手紙」なのです。読む側が問わ
れる「手紙」なのです。マルコの福音書は紀元70年ごろに記されたと言われます。マ
ルコは詳しい説明や主の言葉、その教えなどを大胆に省略して、ひたすら日々の行動や
行為、生活を記録しようとしました。マルコの福音書がどこか味気ないと感じるのはそ
んな事情によるのです。