『ぼくを探しに』 著:ジル・シルヴァスタイン
何気なく本箱に目をやった時焦点が合ったのが表題の本でした。1977年、第1冊発行。半世紀近い昔の本です。
「児童文化」の卒論を書くために買った本の1冊だったかと…。哲学書のような絵本というか、絵本のようなて哲学書というか。モノクロで欠けた●に目が付いている「ぼく」が、欠けている部分にはまるようなかけらを探して旅をするお話です。
1頁目に「だめな人とだめでない人のために」と小さく書かれていて要するに誰が読んでも眺めるだけでも良い訳です。「ぼく」は転がりながら花や虫と出会い、山に登り海を渡り、どんどん進んで行きます。ある日とうとうかけらを見つけた!でもどれもピッタリ来ない…。けれども遂にピタッとはまるかけらを見つけたのです。バンザイ!まん●になったのでたちまちすごい勢いで転がり始めた!もう花や虫とおしゃべりできない。ゆっくり旅ができない。大好きな歌も歌えない・・・。なるほど、つまりそういうわけだったのか。「ぼく」は転がるのを止めてかけらをそっと降ろし一人ゆっくり転がって行きましたとさ。
どのようにでも読める絵本です。大人は大人なりに、子どもは子どもなりに物語が作れます。絵だって真似して書けます。
ン十年ぶりに黄ばんだページをめくりつつ思ったことは、「人間って聖書の太古から全然変わってないんだから50年前の話に共感できても全く不思議じゃないな。」