2020年度が始まりました。今年度はマタイの福音書から、マタイ独自の記事を選んで聞いていきます。今朝は二人の盲人の目をイエスさまが開かれたという癒しの奇跡物語です。マタイは自らの福音書の中で2つの盲人の癒しの伝承を語っています。

 今朝のテキストは活動初期にガリラヤのカファルナウムで起こされた奇跡物語です。このエピソードを通してイエスさまのメシアとしての働きが一層明らかになるように、ユダヤ人たちも正しいメシア観を持つように、更に指導者の娘の蘇生と婦人病の女性の癒しのエピソードを絡ませることで読者がより純粋で強い信仰へと導かれるように、などなど多くの意図をもって書かれたものと考えられます。二人の盲人は共にユダヤ人でしたが「ダビデの子よ」と呼びかけていることで、イエスさまをメシアであると信じていることが分かります。目が見えないことで霊的に研ぎ澄まされ、イエスさまを感じことが出来たようです。諦めることなくイエスさまに期待しています。これらの様子からイエスさまは彼らの信仰を嘉されてその目をお癒しになりました。

 ところが癒された嬉しさの余り彼らはご命令を守らずにイエスさまのことをその地方一体に言い広めてしまったのでした。人間の価値観をイエスさまのみ心に優先させてしまったのです。私たちもイエスさまの奇跡物語を読む時、奇跡そのものに圧倒されてしまい、背後にあってその奇跡を用いようとされるイエスさまのみ思いを台無しにしてしまうといった過ちをつい犯してしまわないでしょうか。