今朝から3回に亘ってルカの福音書のクリスマスの「賛歌」を読んで参ります。今朝はテキストとして、マリアの「賛歌」のみを取り上げますので、先週の「み告げ」から続く物語を「まえせつ」で補足します。

マリアが天使の「み告げ」を受け入れた理由の一つが、ザカリヤの妻エリザベトであったことは想像に難くありません。ヨセフの親類の祭司ザカリアとその妻エリサベト。共に「非のうちどころがない」「神の前に正しい人」と言われていました。しかし子どもが与えられなかったのです、この時まで。天使からの「み告げ」に応えたマリアは、すぐにエリサベトに逢いにユダの町へと出かけて行きました。二人の邂逅の場面には「楽しい密会」みたいな雰囲気が漂います(笑)。もとより二人は母娘みたいなものでしたし今は大変な秘密、天的な秘密を共有しているのです。

エリサベトは聖霊に満たされた、とあります。彼女がマリアに謙譲語で話しかけていることが聖霊の関わりを感じさせます。彼女自身も、神さまの自分へのみ心を聖霊を通して受けたのでしょう。これから自分とマリアの身に起こっていくこと、神の御子がマリアを通して人の世界に来られること、我が子がその道備えをすること、マリアの生涯…。

「主のみ告げの成就を信じたあなたは何と幸い」。このエリサベトの言葉がどれほどマリアの不安を取り除き、勇気と希望と喜びを与えて彼女の背中を押したことでしょう。マリアはこの時初めて母になることを喜べた、感謝できたと思うのです。