パウロを通してのイエスさまのお働きが大きな成果を上げた2つ目は、19節後半に書かれています。
こうしてわたしは、エルサレムからイリリコン州まで巡って、キリストの福音をあまねく宣べ伝えました。
これは宣教活動の範囲、地域が大きく拡がったことを語っています。具体的には、エルサレムからイリリコン州に至る地域を巡り巡って福音を述べ伝えた、そして数多のキリスト者を獲得した、と言うのです。イリリコン州とは、マケドニア州の北、現在のボスニア・ヘルツェゴビナ周辺の地域と言われます。パウロはエルサレムから出発して東ヨーロッパに至る広域にわたって、あまねく福音を述べ伝えたのだと言います。
口語訳聖書には、キリストの福音を満たして来た、と書かれています。これだと飽和状態になるまで頑張って教会を建てて来たかのようですが、彼は一切をイエスさまにお委ねしてイエスさまの道具になり切っていたので自分が働いてはいても、そのような力みはなかったと思います。パウロの誇りとは、敢えて言うなら、イエスさまが他の人でなく、「この私を用いて下さることの喜び」でしょうか。
私たちキリスト者も、その喜びにあふれて気前よく自分自身をイエスさまに提供したいと思います。中には謙遜からか、本当に自信がないのか、あるいは損得勘定をするのか、人目を意識するのか…、献身に消極的な人もあります。良し悪しは誰にも決められませんが、私たちは喜んで自分自身をささげるスピリットをイエスさまから頂いています。日々の教会生活の中で心に留めたい言葉ではないでしょうか。